手根骨と尺骨の間にかかるストレスを均等にするクッションの役割がある。手を突いて倒れたり、手が過度に回内(手首を内側に捻る)されて発生する。手関節の小指側に痛みがあり、尺屈を強制すると痛みが増強する。
転倒したときに手を突いて受傷する骨折でスポーツや日常でもよく見られる。様々な合併症を起こしやすく後遺障害を残しやすい。
手関節の外側(小指側)にある有鉤骨(ゆうこうこつ)は隣接する有頭骨に押しつぶされるときに圧迫されて骨折しやすい「鉤」という部分があります。この「鉤」への圧迫はバットやラケット、スティックのような対象物からの1回の衝撃によって生じることがあります。野球、体操、テニス、ゴルフなど手関節のこの部位にしばしばストレスがかかるスポーツにおいて繰り返される衝撃によっても損傷を受けることがあります。
有鉤骨は血流の乏しい部位であり、早期診断、治療しなければ治癒することはまれです。また保存療法は難しいため、手術で折れた「鉤」を取り除くことが必要です。有鉤骨骨折から復帰するためには6~12週間の安静とリハビリテーションが必要となります。症状別の疾患の方も一緒に変更してください。
初期には示指、中指がしびれ、痛みがでますが、最終的には母指(親指)から環指の母指側の3本半の指がしびれます(正中神経の支配領域)。急性期には、このしびれ、痛みは明け方に強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みます。
手を振ったり、指を曲げ伸ばしするとしびれ、痛みは楽になります。手のこわばり感もあります。ひどくなると母指の付け根(母指球)がやせて母指と示指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります。縫い物がしづらくなり、細かいものがつまめなくなります。
【原因】
特発性というものが多く、原因不明とされています。妊娠・出産期や更年期の女性が多く生じるのが特徴です。
そのほか、骨折などのケガ、仕事やスポーツでの手の使いすぎ、透析をしている人などに生じます。腫瘍や腫瘤などの出来物でも手根管症候群になることがあります。
ギヨン管症候群とは、手のひらの小指球にあるギヨン管(尺骨〔しゃくこつ〕神経管)の中を通る尺骨神経が圧迫され、引き起こされる疾患群。尺骨神経管症候群とも呼ばれます。
手のひらの肉の盛り上がりである小指球の手根部にあるギヨン管は、周囲を屈筋支帯と尺側手根屈筋で囲まれるトンネル構造になっており、首からの神経がわきの下を通り肘(ひじ)の内側から指に通じている尺骨神経と尺骨動静脈が通り、さまざまな原因で圧迫や引き延ばしが加わることで、尺骨神経まひが発生します。
【原因】
原因として多いのは、ギヨン管周辺組織の退行変性(老化)、
ギヨン管を囲む靭帯(じんたい)などの軟部組織の肥厚、ギヨン管内外にできたガングリオン(結節腫〔しゅ〕)、外傷、骨折。
ペンチなどの工具を握る動作やドリルの長時間の使用、タイル張りなどの長時間の床仕事、長時間の自転車走行、繰り返す腕立て伏せなどで小指側の手のひらを圧迫することによっても、症状が現れることもあります。
職種としては、大工、プロゴルファー、プロ野球選手、ロードレースや競輪などの自転車選手がかかりやすいとされています。
発症当初は、手首の手のひら側から小指、薬指の小指側にしびれ、痛みが生じます。肘関節部で尺骨神経が圧迫され引き起こされる肘部管(ちゅうぶかん)症候群と異なり、小指の背側のしびれはありません。
手関節を手の甲側に反らせる背屈と、手関節を手の平側に曲げる掌屈(しょうくつ)でしびれ、痛みが増強します。しびれ、痛みなど感覚の障害がないのに、手指の小さな筋肉が利かなくなってしまうこともあります。ギヨン管の中で尺骨神経は浅枝(知覚枝)と深枝(運動枝)に分枝するため、傷害される部位によって特徴ある症状を示すことがあるためです。
進行ととともに、尺骨神経が支配する筋肉の委縮が始まり、握力の低下、はしを使うなどの細かい動きがうまくできない巧緻(こうち)運動障害、親指と人差し指でのつまみ運動障害、親指と小指の対 立運動不全を引き起こします。
物をつまむ時やビンのふたを開ける時など母指(親指)に力を必要とする動作で、手首の母指の付け根付近に痛みが出ます。
進行するとこの付近が膨らんできて母指が開きにくくなります。
また母指の指先の関節が曲がり、手前の関節が反った「白鳥の首」変形を呈してきます。
【原因】
母指の手前の甲の骨(第1中手骨)と手首の小さい骨(大菱形骨)の間の関節(第1手根中手骨関節:CM関節)は、母指が他の指と向き合ってつまみ動作ができるように大きな動きのある関節です。
その分使い過ぎや老化に伴って、関節軟骨の摩耗が起き易く、進行すると関節が腫れ、亜脱臼してきて母指が変形してきます。