外力に首の急な伸展(首を反らす)や側屈、肩の押し下げにより腕神経叢(首~肩にある神経の束)が伸ばされたり、神経が圧迫されたりして起こる腕神経叢障害である。片側の首~上腕にかけて電気の様な放散痛があり、またしびれ、握力低下などの障害がきている。ラグビー、アメフト、相撲などで多く見られる。
・先天性のもの:先天性筋斜頚、先天性肯性斜頚
・後天性のもの:痙性斜頚、瘢痕性斜頚、炎症性斜頚など
胸鎖乳突筋内の血腫、短縮で生じる。
胸鎖乳突筋の緊張によって頭部は屈曲し回旋する。
椎間板とは首の骨と骨の間にあるクッションみたいなものでこのクッションの中にある固い脊髄核というものが後方ないし、後外側へ飛び出してしまい神経根あるいは骨髄を圧迫する。
片側の上肢の痛みと感覚、運動障害を訴える。
[自覚症状]
・頚椎症状
後頭・頚部から肩甲骨部のしびれ、痛みと頚の運動制限を呈する。
・神経根症
一側の肩甲背部の痛み、上肢のしびれや放散痛、感覚障害、脱力感、筋萎縮(筋がやせる)などを呈する。
・脊髄症
感覚障害は手指、手の平全体に及ぶ、しびれ感が主でさらに体幹、下肢に広がる。
上肢では、書字、ボタンかけ、箸の扱いなどの手指の細かい運動ができなくなる。
下半身では、下肢痙性麻痺になると歩行がぎこちなくなり走れない、階段が降りにくいなどの症状が現れる。
障害が進行すると、膀胱直腸障害を訴えることもある。
胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上腕のしびれ、頚肩腕痛を生じることである。腕神経叢(首から出ている神経の束)と鎖骨下動脈は前斜角筋と中斜角筋の間、鎖骨と助骨の間、小胸筋の下層を走行するか、それぞれの部位で絞扼(しめつける)を受け発症する。
・斜角筋症候群
・助骨症候群
・小胸筋症候群
これらをまとめて胸郭出口症候群と称する。
(症状)手指、腕のしびれ、熱・冷感、脱力感、頚部・肩・肩甲間部・前胸部のうずくような痛み。
首から肩・腕・背部などにかけての痛み・しびれ感などを訴える症状。
頭痛・めまい・耳鳴りなどの一般症状をはじめ、集中困難、思考減退、情緒不安定、睡眠障害など様々な症状がある。
椎間板の退行変性(老化現象)に基づき椎間板腔の狭小化、椎体辺緑の骨硬化・骨棘形成(トゲの様)、椎間関節の狭小化などが認められる。
首の可動域が少なくなり、痛み、こり感などを呈した状態が「変形性頚椎症」である。
さらに神経根症を呈した状態が「頚椎症性神経根症」であり、脊髄症を合併した状況が「頚椎症性脊髄症」である。
【自覚症状】
頚椎症:頚肩部の痛み、頚の運動が制限される。
神経根症:上肢のしびれ。首~肩への放散痛、感覚異常
脊髄症:上肢における巧緻運動障害(つまむ、ボタンをかける動作など)、歩行障害、膀胱障害
腱板の腱性部分が断裂し、腱線維、筋線維の連続性が断たれた状態を指す。
腱板構成筋は棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つであり、そのうち棘上筋曲腱がもっとも損傷しやすい。
若年者のスポーツに伴ってみられる腱板断裂損傷は投球動作などの繰り返す外力により発生すると考えられている
肩峰の前下面と大結部(骨の出っ張り)や腱板付着部が衝突
(インピンジメント)し、様々な腱板の障害をきたす。
・第一期 腱板の浮腫と出血
・第二期 線維化と肥厚
・第三期 腱板断裂と骨の変化
棘上筋腱と肩甲下筋腱の間に鳥口突起があり、結合は弱く腱板疎部(rotator interval )と呼ばれる。
投球動作やスポーツなどで急激な内外旋を繰り返すと腱板疎部の断裂や離開を起こす。
五十肩の一つであり、鳥口突起に限局した圧痛や腱板付着部炎が原因とされる。
鳥口突起は多くの筋肉や靭帯が付着する肩のターミナルの1つであり炎症を励起する。
労働や投球動作によるOVER USE(使いすぎ)や腱板断裂による長頭腱へのストレス増加などが原因で生じる。
炎症を抑えるといった単純な治療さえも困難な場合があり、長頭腱が井戸のつるべのように上腕-肩甲関節の動きを制抑し多くの力学的ストレスを受けやすいからである。
関節唇の上腕二頭筋付着部が剥離または断裂する症状。野球やバレーなど投球動作で発生しやすく、転倒などで手を付いたり、腕を伸ばしたりした際によく発生する。
投球動作で多い肩関節の障害でルーズとは「ゆるい」よいう意味で肩関節が不安定になり、関節唇損傷や靭帯損傷を続発した治療に難渋することもある。疼きや痛み、不快感などを訴え、”はずれそう”という不快感を訴える人もいる。
肩甲上神経麻痺は急性に発症することもありますが,多くは慢性化しており、バレーボール、テニスなど肩を振り回す頻回な力が掛かる人に多く発生します。肩が水平以上、上がらなくなりスポーツ活動に支障をきたします。ある日突然、肩が上がらなくなった場合は、脳梗塞などの一過性麻痺も含め、専門医を受診することが必要です。
肩甲上神経は棘上筋と棘下筋を支配している神経で、肩甲骨の上の方にある肩甲切痕という骨の溝をすり抜けるようにして筋肉に到達しています。その部分の走行に無理があるので肩甲切痕部で圧迫を受けて麻痺を起こすことが有ります。
症状肩甲上神経麻痺の症状は腕を水平以上あげようとしても力が入らない状態が続きます。反対の手で持ち上げてあげれば、肩腱板断裂と同様,肩が上がるので肩関節周囲炎とは区別されます。いわゆる四十肩・五十肩と診断され、長い間治らない患者さんの中に、肩甲上神経麻痺が見逃されていることがあります。
四角腔は肩甲骨外縁、肩関節下包、上腕三頭筋長頭、大円筋で囲まれた間隙のことで、腋窩神経、橈骨神経上肢、後上腕回旋動脈がこの部を通過する。この部分で筋張が加わるため発生する。
また打撲による直達外力や肩の脱臼、スポーツでは野球などでよく障害が見られる。
【症状】
・三角筋麻痺と萎縮(肩の外側)、肩外側の知覚低下
・肩の外転不能(可能なときもある)
・五十肩に多く見られる。
・原因不明の一次性と原因のある二次性に分けられる。
【原因】
変形したまま骨折が治癒したり、術後の拘縮なども原因の1つであるが、滑液包の癒着が最も多い。放置すると靭帯や筋繊維も短縮をきたすので、早くから治癒すると予後も良い。